70年代から80年代にかけて、映画は、大衆の娯楽だけではなく、ドキュメンタリーやアートとしての実験映画など、さまざまな映像の可能性が追求され、自主上映や独自の拠点づくりが始まる。90年代になると、ショッピングモールなどにシネマコンプレックスが集約され、人口30万人以下の中小都市では映画館が一つもないという事態も起こる。それを憂い、市民の手で復活、運営される映画館も生まれてきた。このような小さくとも「自分たちの」映画館が各地にあることの意義と可能性について。そして全国に点在する、企画も、活動も、空間も面白い映画館を見に行こう。
2月号特集「ミニシアターの可能性」より
インタビュー
ミニシアターを巡る旅|リム・カーワイ(林 家威) 3
地域とミニシアター
[シネマ・デ・アエル] 借りる、つくる、もらう 手づくりの映画館|宮崎達也 8
[アウトクロップシネマ] 映画をきっかけとした対話の場|坂口聖英 10
[瓜連あまや座] 映画を目的に出かける映画館に|大内 靖 12
[シアターキネマティカ] 温故知新のリフレーミング|矢口龍太 14
[シネマテークたかさき] たかさきコミュニティシネマと地域文化|志尾睦子 17
[シネマネコ] 『青梅』のシークエンス/オムニバスな歴史|葛谷寧鵬 20
[シネコヤ] 映画館でも、ミニシアターでもなく、『シネコヤ』|竹中翔子 22
[名古屋シネマテーク+ナゴヤキネマ・ノイ] 名古屋シネマテークと私|鎌田大資 24
[THEATER ENYA] 文化のインフラストラクチャーとしての映画館|甲斐田晴子 26
[シアタードーナツ] イメージを共有することの出発点としての映画館|蒲地史子 29
コラム
桜坂劇場の市民大学 「観客たち」と文化を育む「劇場」|玉城 力 32
移動映画館「キノ・イグルー」とは|有坂 塁 34
建築とミニシアター
[ラピュタ阿佐ヶ谷] 文化芸術のまちに降り立った名画の森|種田元晴 35
[前橋シネマハウス] 市民活動を誘い、コミュニティをはぐくむ小さな映画館|水谷俊博 36
[深谷シネマ] 酒蔵と馬屋と夢を実現するという執念|清水潤一 38
[東京日仏学院/アンスティチュ・フランセ東京] 暗闇のコンテクスト|瀬尾憲司 40