今、建築は必要とされているのか。必要とする人に届いているのか。人々の願いにこたえているのか。戦後復興から高度経済成長、バブル崩壊を経て、少子高齢化、格差の拡大、相次ぐ過酷事故・災害の中でともすると経済活性化、賑わい創出のための道具として建築がつくられていく。このままでは、建築は人々からうとまれ、そっぽをむかれてしまうかもしまうかもしれない。まだ感染症の不安が続く2022年末の締めくくりとして、ある、90年前に建てられた一つの住宅から建築の本質を探す旅に出よう。
12月号特集「聴竹居」より
鼎談
聴竹居が問いかけるもの|内田青蔵+堀部安嗣+松隈 章 3
それぞれの視点から
聴竹居の現代的意味 設備、生活、技術、デザイン|堀越哲美 8
夏の生活を快適にする聴竹居の工夫|中大窪千晶 10
近代の建物の保存と修理|長尾 充 12
聴竹居保存修理工事で得た五つの気づき|稲田朋代 14
インタビュー
聴竹居はどのように使われていたか 本屋・閑室・茶室の記憶|藤井厚二の次女・小西章子さんに聞く 18
「聴竹居」以前に4回も建てた藤井厚二自邸 23
藤井厚二の木造小住宅
『住宅に就いて三』と有馬の古民家「楽」を見て|畑 友洋 26
藤井厚二の生涯・聴竹居保存・公開年表 30
保存と活用のマネジメント
聴竹居倶楽部 企業と住民の協働に注目して|松本茂章 32