作家性と庶民性―。とりわけ関西では安藤忠雄の人気は高い。建築を学ぶ学生の多くは、安藤忠雄のようになりたいとあこがれる。市井の人たちからも「安藤のおっさん」と愛されている。工業高校卒で東大教授になり、ボクサー修行の経験もあるというサクセスストーリーと、笑いをとりながらの自分語りは、何かアンチの象徴として支持を得てきたのだろう。しかし、特異な建築家と自分を同一視するのは危険だ。安藤忠雄でないわれわれは次の時代をどう生きるのか。その先に何を見るのか。読者とともに考える。
「さよなら安藤忠雄」より
安藤忠雄を見に行く
安藤忠雄クロニクル|倉方俊輔 4
直島プロジェクト 建築は芸術とひとつになり得るか|北垣直輝 8
「こども本の森(中之島)2020」と「こども本の森(神戸)2022」を見る|中橋文夫 12
コラム
真駒内の頭大仏を見る|高木拓哉 15
安藤忠雄論
安藤忠雄の卓越化の方法|松村 淳 16
建築家のノブレス・オブリージュ|五十嵐太郎 18
日本の建築家 その多様性と安藤忠雄|速水清孝 21
安藤忠雄の環境観|吉村元男 23
コンペと国家プロジェクトと建築家
2015年7月16日の国立競技場問題の安藤忠雄記者会見29分間完全起こし 26
白紙撤回・予算オーバー・コンペ|山本想太郎 31
「安藤忠雄的な」の深層|阿部 潔 34
建築家と政治…安藤忠雄のポピュリズム|小笠原博毅 37
安藤忠雄の建築一覧 38