1989年の着工から30年余。1997年4月14日の諫早湾干拓潮受堤防閉め切りの映像は衝撃的だったにもかかわらず、多くの国民にはすでに終わったことになっているかもしれない。閉め切り後25年目に入る今、そこで何が起こっているかを知ることによって、疲弊する地方の実情や、日本の農業、漁業がかかえる課題が見えてくる。巨費を投じる国営事業の矛盾、公共土木工事に依存する地方経済の体質、防災の名のもとに行われる環境破壊は、国民すべての未来にかかわる問題ではないだろうか。
「諫早から日本が見える 1997年4月14日を忘れない」より
諫早から日本が見える
なぜ引き返せない巨大公共事業 国営諫早湾干拓事業の財政学|宮入興一 4
諌早湾干拓事業の「防災」機能を問い直す|菅波 完 7
タイラギ漁の今、そして漁村は|中山眞理子 10
「優良農地」の実態 干拓地での営農はどうなっているか?|羽島有紀 14
諫早湾干拓事業の影響に関する地域住民の認識 諫早市民と雲仙市民を対象としたアンケート調査から見えること
|加藤雅俊・樫澤秀木・開田奈穂美 18
年表と解説
諫早湾干拓事業と紛争の経緯|堀 良一 22
諫早湾干拓の「開門調査」とは何か|菅波 完 22
座談会
諍いのまちから、復元のまちへ|佐藤正典×田中 克×寺西俊一×保母武彦 26