住民と自治を考える時、どうしても外せないのが「町内会」である。地域に施設を建設する際、地区計画が定められる場合、必ず、町内会の意見が聞き取られる。しかし、本当に町内会は住民の代表なのか、疑問が残る。そもそも世帯ごとに加入するので、いったい誰が会員なのかさえはっきりしていないのだ。さらに、昨今では、防災や避難所運営まで町内会に任務が課せられ、行政も防災のため家族の安心安全のためだと町内会加入を盛んに勧めるが、その割には、町内会に対して基礎的な学びさえ提供されていない場合が多い。はたして、町内会は行政を安価で補完する準公的団体なのか、それとも、善意のボランティア団体なのか、あるいは地元の結束を固める親睦団体なのか、どうも謎である。「阪神淡路大震災以後、町内会の重要性が増した」と言われる今だからこそ、まちづくりにおける最後の謎の部分、日本の秘境「町内会」に迫ってみたい。
日本的コミュニティ「町内会の研究」より
はじめに
町内会とはなにか|玉野和志 2
江戸時代から現代まで
町内会と行政
制度化の歴史と現状|日高昭夫 6
世界のコミュニティ
①英国との比較から見た日本の町内会
イングランドの草の根の自治体「Parish Council」|鰺坂 学 10
②米国との比較から見た日本の町内会
コミュニティを破壊するNIMBY主義|大内田鶴子 12
①中国との比較から見た日本の町内会
強い行政色でシステムを有効に機能させる|陸 麗君 15
「女性と町内会」戦前・戦中・戦後の歴史
女性の視点から見た町内会|小浜ふみ子 18
生活クラブ東京における「コミュニティ」活動
生活協同組合による地域活動と町内会|西城戸 誠 21
自治会長の立場から
名古屋市の区政協力委員制度|金田ゆき 24
まとめとして
これからの町内会とは|玉野和志 25